vol.1 クラリネットとの語らい

私がコントラバス奏者として演奏活動をしているものの中で、

室内楽活動はとても重要であり、幸せを感じるものです。

その中でも、近年続いていますシリーズが、クラリネットとの室内楽活動です。

ここでは、その活動から思うことを記述いたします。

ジョヴァンニ・ボッテジーニ
ジョヴァンニ・ボッテジーニ

そもそもの発端は2006年の演奏会、

声楽がメインの演奏会に小さなアンサンブルとして、クラリネット、コントラバス、ピアノによるトリオを編成したのがきっかけでした。

その際、伴奏だけでなく、トリオ単独での演奏も行いました。

演奏した曲は、ボッテジーニ/クラリネットとコントラバスのためのグラン・デュオでした。

 

ジョヴァンニ・ボッテジーニは19世紀に活躍したイタリアのコントラバス奏者です。

作曲もしていますし、指揮者としてのキャリアもある人でして、

それだけでも凄いことなのですが、

とにかく彼はコントラバスのヴィルトゥオーゾとして当時絶大な人気を誇っていたのでした。

当然、彼が残したコントラバス曲はどれもが超絶技巧のオンパレード。

コントラバスを専門にしている者として、彼の名前を知らないことは考えられないほどの、業界的には有名人ですが、

一般クラシックの愛好家にしてみれば、まだまだ知られていないのが現実のようです。

 

さて、この「グラン・デュオ」、恐らくは親子共演が目的で書かれたのではないでしょうか。

というのも、ボッテジーニのお父様がクラリネット奏者だったのでした。

なんらかの史料が私の手元にあるわけではないので、確実な情報とはいえませんが、

親子共演するには実に華やかで技巧的、そして美しいカンタービレが味わえる、素敵な曲です。

2009年5月公演の様子
2009年5月公演の様子

当時、メンバーはこの曲の演奏に大変興奮いたしました。

それからというもの、この曲の演奏頻度は格段に上がりました。

2008年から2011年までは毎年のように演奏してきましたし、

その都度、お客様からは好評をいただいて参りました。

 

さて、実のところ、このトリオ編成で演奏できるオリジナル曲は、

このボッテジーニの作品のみしか私は知らないのです。

そこで、オリジナル作品以外で、このトリオによる演奏レパートリーを拡大する必要が出てきました。

以下、この編成でこれまでに取り上げてきた曲目をリストアップいたします。

(2013.3.2現在)

・ベートーヴェン

  ピアノ三重奏曲「街の歌」

  ピアノ三重奏曲 Op.38(七重奏曲の作曲者自身による編曲)

・ブラームス

  クラリネット三重奏曲

・ブルッフ

  クラリネット、ヴィオラ、ピアノによる8つの小品

・グリンカ

  クラリネット、ファゴット、ピアノによる悲愴三重奏曲

2011年7月公演の様子
2011年7月公演の様子

勿論、上記の作品以外にも、ちょっとした小品などをアレンジして演奏もしてきていますので、レパートリーはかなり増えたと思っています。

 

なぜクラリネットとコントラバスなのか?

これは、お互いの楽器の音色の溶け合いが心地よいからというのが理由だと思っています。

管楽器と弦楽器、しかも音域にはかなりの違いがあるので、常識的にはそれほどお互いの響きが融合するとは考えつかないのですが、

どういうわけだか、この2つの楽器の相性はいいというのが私の実感。

不思議なものです。

だからなのか、この魅力に取りつかれてしまい、現在に至るということです。

 

この文章を書いているときは、3月23日トリオ公演の前。

いつもながら、公演前の練習は楽しくもあり、真剣モードでもあり、なかなかエキサイティングなものです。

それだけ、私も力が入っているということです。

そして、今回の公演はクラリネットとコントラバスのためのデュオを2曲取り上げます。

この2曲の演奏シーンは極めて貴重なもの。

ですが、この2曲に関するコラムは、次回に記述することといたしましょう。

 

2013.3.2