vol.20 ブルッフを弾く

マックス・ブルッフ
マックス・ブルッフ

マックス・ブルッフ(1838-1920)という作曲家がいました。
ドイツのロマン派作曲家でして、年代からすればやや保守的な語法ともとれる音楽でして、

そのためか、私からすれば、とてもわかりやすく、広く親しまれてもおかしくないと思ってしまうのですが、

現在日本で演奏される機会が多いのは、ヴァイオリン協奏曲第1番とか、やはりヴァイオリン独奏とオーケストラによる「スコットランド幻想曲」とか、チェロの作品として有名な「コル・ニドライ」ぐらいでしょうか。

彼の作品の数はまだまだたくさんあるのに、

この程度しか知れ渡っていないということを、

私としてはとても残念に思っています。

 

 

私が彼の作品の演奏体験を持つことは、これまでのところそれほど多くはありませんでした。

コントラバスソリストとして2000年にコル・ニドライを演奏しましたが、

(なんと、管弦楽バックに!)

その後2012年にピアノ伴奏の仕事でこの曲を弾いたり、

まあ、これだけでも特殊なことですけど、頻度としては少ないほうでした。

 

 

ところが、その2012年に、次の作品の演奏を体験するのです。

それが、8つの小品

編成はクラリネット、ヴィオラ、ピアノというもの。

私はコントラバス奏者としてヴィオラパートを担当したのでした。

 

ヴィオラとコントラバス、お互いの楽器の共通性はやや地味ということぐらい。

弾き方も音域もまるで違うのに、果たしてコントラバスでの演奏は可能なのかと半信半疑の状態で取り組みましたが、

これが上手く調和するではありませんか!

すっかりと魅力にハマってしまった私、2013年にも取り上げました。

 

ただ、これまでは全曲の演奏ではなく、抜粋による演奏でした。

いくら小品が8曲あるからといって、全曲演奏すると40分近くの時間が必要。

しかも、8曲の有機的関連はまるでなく、ブルッフ自身も全曲を通して演奏することを想定していなかったのでした。

そのことから、これまでは抜粋による演奏となりましたし、

他の演奏家のみなさんも、抜粋による演奏の方が多いのではないでしょうか。

でもね、CDなどの録音で全曲聞くと、本当に胸が熱くなる想いです。

8曲中7曲が短調ですから、短調好きの日本人にはたまらないでしょう。

感傷的になりたい瞬間、この作品はうってつけのような。

 

さて、そんなある意味危険で凄い作品であるこの曲を、

この度全曲取り上げることとなりました。

3月29日に開催します「クラリネット、コントラバス、ピアノの愉快なトリオ」公演です。

きっかけは、このメンバーで昨年3月にベートーヴェン/ピアノ三重奏曲変ホ長調Op.38を弾いたことでした。

この曲、原曲はベートーヴェン/七重奏曲Op.20でして、それを作曲者自身がクラリネット三重奏版として編曲したものでした。

この作品の演奏時間が40分を超す大作だったのに、退屈感なく演奏が出来て、評判がよかったのでした。

ならば、同じくらいの演奏時間の作品でも演奏力を示すことが出来るのでは?

相変わらず、このメンバーはチャレンジングであります。

 

 

これを書いている時はあわせ練習の前日。

これからどんな世界が待っているのか、ワクワクさせられます。

そう、これから楽しい1か月が待っているのです。

多くの方々にこの興奮を聞いていただきたいなあ。

 

2014.2.27